実家の片付けは長い間私の頭痛の種だった。 父が存命中も母は自由に欲しいものを買っていたのだが、父が亡くなった後はますます物を買うようになった。 洋服、帽子、バッグ、靴を山ほど買った。 食糧も在庫を管理せずどんどん買うので、冷蔵庫はいつもパンパ…

介護保険を使って実家にヘルパーさんが来てくれる事になった。 警戒心の強い母は知らない人を家に入れる事に抵抗があるので、ヘルパーさんが来る日に私も実家に行く事になった。 ヘルパーさんが来てくれる曜日は生協の配達が届く日でもあるので都合が良い。 …

ケアマネジャーさんが探してくれたデイサービス2カ所に母はちゃんと行ってくれた。 コロナ禍なので残念ながら家族は見学が出来なかったのだが、母はどちらの施設もスタッフの人が親切で、お風呂ではしっかり洗ってもらえて気持ちが良かったと喜んでいた。 ゲ…

実家は郊外にあるので広い庭がある。 母が元気な頃はまめに手入れをしていたが、いつの日からか庭木が伸び放題になっていた。 隣家や歩道にはみ出した枝を落としてもらう為便利屋さんを頼んだ。 便利屋さんと約束した日、JRに乗って実家を訪れると介護認定の…

ケアマネジャーさんが決まり、介護保険を使って私がフォローしながら実家で母の一人暮らしを継続する事になった。 まずは介護認定。 区役所に書類を出してから約三週間後に認定員さんが実家に来てくれる事になった。 母には夫の癌が再発しかかっている事を告…

母をマンションに連れて来て世話をする事が夫の身体に影響を与えるほどストレスになっていたとなると、もう続ける事は出来ない。 これからはマンションで世話をするのではなく、私が実家に通う事にしようと思った。 母は90歳になっていた。 いよいよ介護保険…

週末だけの同居生活は私も大変だったが、夫にもなかなかのストレスを与えていたようだ。 母が居間で過ごしている間行き場のない夫は、昼間はスーパー銭湯に出かけたり、図書館に出かけたりして時間を潰した。 夜は寝室にこもっていた。 うっかり話し相手にな…

その日をきっかけに毎週末母をマンションに呼び寄せる事にした。 有難い事に夫も承諾してくれた。 夫もさすがにここまで弱って来た母をないがしろには出来なかったみたいだ。 夫と母が仲違いをして15年。 2人は何事もなかったように言葉を交わしている。 こ…

母がしばらくお風呂に入っていなかった事が発覚した。 果たしていつから入っていなかったのだろうと思ったが、とてもじゃないけれど恐くて聞けなかった。 風呂が壊れていた訳ではなく、母が風呂の給湯器を止めてしまっていたのだった。 どうやら止めたはいい…

母は61歳で未亡人になった。 父が亡くなった直後は哀しみに暮れていたが、思ったよりも早く元気を取り戻し、その後は父の看病で休んでいた趣味を再開したり、友達と会ったり、旅行に行ったりと独身生活を楽しんでいた。 「子供達に面倒はかけたくない」とい…

母は救急搬送された総合病院に入院して19日目に、私の家から徒歩10分のリハビリ型病院へ無事転院した。 19日ぶりに会った母は車椅子に乗っていた。 驚いた事にもう痛いところは無いと言う。 思っていたよりも順調だった。 寝たきりだったので歩けなくなって…

母との電話を切り、一旦深呼吸をしてから病院に電話をした。 電話に出てくれた男性看護師さんに母の様子を聞き、実は母がこんな事を言っているんです。そんな訳はないですよね。 となるべく明るく話してみた。 看護師さんは初めは笑いながら答えてくれていた…

新しい携帯電話を購入した翌日、早速病院に届けたが、面会が出来ないので使い方を教えてあげられない。 果たして電話は掛かって来るのだろうか？ と思っていたら夕方電話が掛かって来た。 看護師さんが掛けてくれたのだった。 早速母と話しをする。 思ってい…

母の入院から8日目、病院から電話が来た。 母が救急搬送されて入院した日は相部屋の空きが無く差額ベッド代が一日8250円の個室に入っていたのだが、部屋が空いたので移動しますねという有難い知らせだった。 それと母が私に伝えたい事があるので、携帯電話を…

昨日の続きです。 約2週間後に転院か退院かを決めてほしいと言われたが、母の圧迫骨折の痛みが無くなるまでには果たしてどの位かかるのか？ 退院させて一人暮らしの自宅に戻す？ いや、無理でしょう。 ケアマネジャーさんに相談したところ、リハビリ型の病院…

昨日の続きです。 母が入院した翌日は朝から大忙し。 まずはケアマネージャーさんに電話をして、今の状況を伝える。 週2回通っているデイサービスと週に1度来てお世話していただいているヘルパーさんには、ケアマネージャーさんから連絡してもらえるとの事。…

昨日のつづきです。 母の救急搬送を頼んで30分を過ぎた頃救急隊の方から電話が来た。 「〇〇病院に搬送しますので、娘さん来て下さい。」 良かった。 ちゃんと鍵を開けて対応できたんだ。 地下鉄に乗って病院へ。 到着後母の様子を訊ねるとまだ検査中との事…

今年の3月31日、夜9時半過ぎに母から 「胸が苦しくてなんだか死にそうなの。 どうしよう。」 という電話を受けた。 私の住むマンションから母の住む一軒家までは公共交通機関を乗り継ぐと約1時間、車だと高速を利用して早くても約30分かかる。 私はペーパー…

私は還暦を過ぎ、孫が二人いるおばあちゃん。 母は昭和一桁、今年91歳。 これから母が一人暮らしから老人ホームに入居するまでの日々を綴ってみようと思います。 どうぞよろしくお願いします。