ルーティン

昨年の6月15日から母の施設に通う生活が始まった。

 

入居当初は足りない物を届けたり、母の不安な気持ちに寄り添って毎日通った。

歩いて5分と立地が良かったので行きやすかったのだ。

だが7日目に施設長に言われた。

「いつでもどうぞとは申しましたが、これからは週に一度くらいにしてもらえませんか。

入居者の中にははとんど家族さんがお見えにならない方もいらっしゃるので」

 

そうなんだ。

たまたま私は近いから頻繁に来られるけど、遠い方もいるだろうし、家族にはそれぞれの事情がある。

 

洗面所とトイレが部屋に付いていないので、入居者の方と廊下で会い挨拶を交わす事がある。

面会に行く時間がなるべく食事の時間に重ならないように気を付けてはいたのだが、うっかりして遅くなり、入居者の方が食堂の椅子に座っていらっしゃる事もあった。

 

面会に来る時はあまり目立ってはいけないのだ。

 

それから週に一度の面会が始まった。

 

冷蔵庫に入れる水や乳酸菌飲料などの飲み物、ヨーグルト、ゼリー、プリンなどや母の歯でも食べられる柔らかい焼き菓子、チョコレートなどを持参する。

 

洗濯した衣類をクローゼットに仕舞い、洗濯籠に入れてもらった衣類を持ち帰る。

 

シーツや布団カバーなどの大きな物は洗濯機の使用1回につき100円で施設のスタッフが洗ってくれたので楽だった。

脱水した物は各自の部屋で干す事になっていたので、施設長のオススメでホームセンターで突っ張り棒を買い窓に取り付けそこに干してもらう事にした。

 

衣類の洗濯も全て任せている人もいたようだ。

そういう方は部屋に室内物干しを置いているようだった。

 

私は自宅で介護してあげられなかった負目のようなものが心のどこかにあったので、せめて衣類位は洗濯しようと思ったのだった。

 

母が使ったコップ、スプーンなどが汚れていたら共同の洗面所で洗う。

2週間に1度手の爪を切る。

面会中に母がお手洗いに行きたいと言えば車椅子に乗せて共同のトイレに連れて行った。

鼻に付けている酸素のチューブは廊下に出て直ぐの場所にあるトイレに行けるくらい長い物になっていたので、チューブをさばきながら連れて行くのは少し大変だった。

 

というのがだいたいのルーティン。

コロナ禍だったので面会は15分程度と言われていたのだが、30分〜1時間位は母の部屋にいた。

 

その後、ご飯のお供のふりかけやお弁当用に作られている1回分に小分けされた海苔の佃煮、鯛味噌などを届けるというのも追加された。

 

母は穏やかに施設で過ごしてくれていた。

私が行くと嬉しそうにその週にデイサービスでゲームを楽しんだ事や施設で言葉を交わすようになったお仲間の事を話してくれた。

年齢を聞かれて少しサバを読んだら「若っ」と言われたなどという面白エピソードも聞かせてくれた。

 

そして私が帰る時は必ず「車に気を付けてね」と言ってくれ、手を振って笑顔を見せてくれた。

当たり前なのだが60歳を過ぎても私はずっと母の子供なのだ。

 

 

久しぶりなので長くなりました(≧∀≦)

続きます。